東京の高円寺駅から徒歩5分に位置する集合住宅兼オーナー住居です。1階~2階に、部屋の大きさが28~33㎡賃貸ルーム6室、3階にオーナー住戸を配しています。
賃貸部分に関しては、オーナーからの依頼により、地元の不動産との連携を取りながら地域の需要を踏まえて一区画の大きさや、プランを決定していきました。単身世帯用のいわゆるワンルーム賃貸住宅は、一般的に実際そこに住む人の意向は一切反映されず、建設費の経済的効率性が最優先されます。そうしてできた賃貸住宅が東京に溢れ、供給過多になっている社会状況があります。フロンテージセーブ・片面廊下型といった効率的に部屋数を増やすことに重きを置いた設計手法を見直し、住まい手の側にきちんと立った住宅にするということを意識しました。住まいに必要な通風・採光・プライバシーの確保といった当たり前の性能をきちんと備えた住宅とすることが、空き室の回避つまり建物オーナーの利益に繋がると考えました。
角地という立地条件を活かし、窓の部分を欠きとることにより、空間の広がりをもたらしました。建物のコーナー部を居室とし、他区画との間にインナーバルコニーを挿入して防音にも配慮する計画としました。全ての区画の居室は3面が外部に面し、風が抜けるように開口を設けています。またインナーバルコニーのプライバシーに配慮し、道路面から視線を遮るためのルーバーを設け、外壁のデザインに取り込む工夫をしました。
アトリエ・天工人と協同設計監理
撮影:傍島利浩